【 命名に関する心得 】
【 命名に関する心得・1 】
いつの世でも生まれてくる子どもに、「良い名前」を命名して一生涯の倖多きことを
願ってやまないのは、そのご両親たちです。しかし、いざ名づけとなると具体的に
どういう名前にしょうかと、誰しも悩んでしまいます。
そこで今年も「良い名前の付け方・3」を復習をかねてメルマガを発行し続けます。
◇出生届けはいつまでに・・・・・・◇
赤ちゃんが生まれました。このお目出度い忙しさの中で、忘れてならない大切な事は
出生届けであります。日本人は、戸籍法(第49条)によって生後14日以内には、
出生届けをしなければなりません。
出生届けは、単に赤ちゃんが生まれたことを届け出る、というだけのものでなく、
これによって赤ちゃんの氏名が戸籍に登録され、以後その赤ちゃんは一人の日本人
としての権利を有し義務を負うことになる大切な届け出なのです。
昔は、普通「お七夜の祝い」といって赤ちゃんが生まれてから七日目の夜に、名前を
披露してお祝いする習慣があり、たいていの家庭でおこなわれました。そのために
赤ちゃんの名前は其処までにつけなければなりません。現在でもこの風習は残っている
と思われます。
そこで、とても慌ただしくて「良い名前」など考えられるはずがない、とおっしゃる方は
できるだけ前もって可愛い赤ちゃんのために、名前を決めて置くのが賢明な方法です。
◇お七夜の祝いとは・・・・・・◇
人生は一生のうち、多くの祝い事を重ねて行きます。
七・五・三の祝い・入学祝い・成人式の祝い・就職祝い、結婚祝い・栄転祝い・新築祝い
さらに還暦祝い・銀婚式の祝い・金婚式の祝い・・・・と数えきればきりがありません。
いってみれば一生涯の一つのけじめであるとも考えられます。このように沢山の祝い事
の中で人間が最初に出会うのが「お七夜の祝い」といえます。人生第一歩のお祝いで
あります。
「お七夜」は、赤ちゃんが生まれて七日目の夜をいうのですが、別に夜と限ったわけで
なく一週間目のその日に、赤ちゃんに命名し、両親・里の両親・親しい親戚の方や知人
を招いて内輪の祝いをすることをさしています。
大昔は、出生届けをして戸籍に登録する、という制度がなかったので、こうしたお祝いの
膳を一席もうけて、親類や近所の人達を招いて生まれた子供の名前を披露しながら、
社会的にもその子供の存在を認めてもらう、というのが始まりのようです。
今日では盛大なお七夜の宴などは、まったく見かけなくなりました。現在では産院で
出産するケースがほとんどで、この場合どうかすると、母親も肝心の赤ちゃんも、
お七夜の当日はまだ産院のベットにいるということもあり、主役の居ない芝居のようで、
どうもしまりません。
しかしこれは、永い生涯のうちの、一つのけじめです。たとえ、名前の書いた半紙を
画鋲で壁に貼っただけでも、何かしらきりっとして、生まれた赤ちゃんが名前も決まって、
いよいよ人生のスタートをするのだ、という気がしてくるものです。
大げさな「お七夜の祝い」でなく、ごく内輪でせめて神棚に御神酒をあげ、赤飯をたいて
半紙にまず命名と書き、その下に続けて子供の名前を書き、これを神棚か仏前から
さげてお七夜を祝う位のことは、日本の伝統的な風習として残したいものです。
【 命名に関する心得・2 】
◇ 出生届けは何処へ出す・・・・・◇
用紙は市区町役場の戸籍課にあります。無料です。また大きな病院や産院でしたら
そこに備えてありますから、係の人に言えばもらえます。
その用紙に記入して出すわけですが、さて、出生届けは何処へ出せばよいのでしょうか。
出生届けは、住民登録をしてある市・区役所(役場)、または赤ちゃんが生まれた場所の
市・区役所(役場)に届け出ることになっています。
登録してある役所とは、つまり、いま住んでいる現住所の役場です。赤ちゃんの生まれた
病院や産院のある場所の役場です。たとえば、本籍が奈良県奈良市で現住所が名古屋市
の中区で、出産した場所が昭和区の産院という場合は中区か昭和区役所へ届けます。
以前の出生届けは、赤ちゃんの出生地の役所に届けることになっていました。つまり
この場合でいえば、産院のある昭和区の区役所でした。
これでは何かと不便なので、現在では、生まれた所の区役所でも現住所の区役所でも
どちらでも受け付けてくれるようになっています。そして、どちらかというと現住所の
役所に届け出ることを役所では進めているようです。
こうして届け出された出生届は、本籍地へまわって、そこの戸籍にも登録され、以後
その赤ちゃんは、一人の日本人としての権利を有し義務を負うことになるのです
◇ 命名の文字には制限がある・・・・・・◇
人名に使用出来る文字は、国の法律(戸籍法施行規則第60条)で決まっています。
常用漢字(当用漢字)・人名漢字・カタカナ・ひらかな・記号で「−」「ゝ」「ゞ」
「々」これ以外の文字は使用できません。
ご参考までに、常用漢字と人名漢字を下記に記載しました。
『 常用漢字 』(1945字)
亜哀愛悪握圧扱安暗案以位依偉囲委威尉意慰易為異移維緯胃衣違遺医井域育一壱逸稲
芋印員因姻引飲院陰隠韻右宇羽雨渦浦運雲営影映栄永泳英衛詠鋭液疫益駅悦謁越閲円
園宴延援沿演炎煙猿縁遠鉛塩汚凹央奥往応押横欧殴王翁黄沖億屋憶乙卸恩温穏音下化
仮何価佳加可夏嫁家寡科暇果架歌河火禍稼箇花荷華菓課貨過蚊我画芽賀雅餓介会解回
塊壊快怪悔懐戒拐改械海灰界皆絵開階貝劾外害慨概涯街該垣嚇各拡格核殻獲確穫覚角
較郭閣隔革学岳楽額掛潟割喝括活渇滑褐轄且株刈乾冠寒刊勘勧巻喚堪完官寛干幹患感
慣憾換敢棺款歓汗漢環甘監看管簡緩缶肝艦観貫還鑑間閑関陥館丸含岸眼岩頑顔願企危
喜器基奇寄岐希幾忌揮机旗既期棋棄機帰気汽祈季紀規記貴起軌輝飢騎鬼偽儀宜戯技擬
欺犠疑義議菊吉喫詰却客脚虐逆丘久休及吸宮弓急救朽求泣球究窮級糾給旧牛去居巨拒
拠挙虚許距漁魚享京供競共凶協叫境峡強恐恭挟教橋況狂狭矯胸脅興郷鏡響驚仰凝暁業
局曲極玉勤均斤琴禁筋緊菌襟謹近金吟銀九句区苦駆具愚虞空偶遇隅屈掘靴繰桑勲君薫
訓群軍郡係傾刑兄啓型契形径恵慶憩掲携敬景渓系経継茎蛍計警軽鶏芸迎鯨劇撃激傑欠
決潔穴結血月件倹健兼券剣圏堅嫌建憲懸検権犬献研絹県肩見謙賢軒遣険顕験元原厳幻
弦減源玄現言限個古呼固孤己庫弧戸故枯湖誇雇顧鼓五互午呉娯後御悟碁語誤護交侯候
光公功効厚口向后坑好孔孝工巧幸広康恒慌抗拘控攻更校構江洪港溝甲皇硬稿紅絞綱耕
考肯航荒行衡講貢購郊酵鉱鋼降項香高剛号合拷豪克刻告国穀酷黒獄腰骨込今困墾婚恨
懇昆根混紺魂佐唆左差査砂詐鎖座債催再最妻宰彩才採栽歳済災砕祭斎細菜裁載際剤在
材罪財坂咲崎作削搾昨策索錯桜冊刷察撮擦札殺雑皿三傘参山惨散桟産算蚕賛酸暫残仕
伺使刺司史嗣四士始姉姿子市師志思指支施旨枝止死氏祉私糸紙紫肢脂至視詞詩試誌諮
資賜雌飼歯事似侍児字寺慈持時次滋治璽磁示耳自辞式識軸七執失室湿漆疾質実芝舎写
射捨赦斜煮社者謝車遮蛇邪借勺尺爵酌釈若寂弱主取守手朱殊狩珠種趣酒首儒受寿授樹
需囚収周宗就州修愁拾秀秋終習臭舟衆襲週酬集醜住充十従柔汁渋獣縦重銃叔宿淑祝縮
粛塾熟出術述俊春瞬准循旬殉準潤盾純巡遵順処初所暑庶緒署書諸助叙女序徐除傷償勝
匠升召商唱奨宵将小少尚床彰承抄招掌昇昭晶松沼消渉焼焦照症省硝礁祥称章笑粧紹肖
衝訟証詔詳象賞鐘障上丈乗冗剰城場壌嬢常情条浄状畳蒸譲醸錠嘱飾植殖織職色触食辱
伸信侵唇娠寝審心慎振新森浸深申真神紳臣薪親診身辛進針震人仁刃尋甚尽迅陣酢図吹
垂帥推水炊睡粋衰遂酔錘随髄崇数枢据杉澄寸世瀬畝是制勢姓征性成政整星晴正清牲生
盛精聖声製西誠誓請逝青静斉税隻席惜斥昔析石積籍績責赤跡切拙接摂折設窃節説雪絶
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寧猫熱年念燃粘悩濃納能脳農把覇波派破婆馬俳廃拝排敗杯背肺輩配倍培媒梅買売賠陪
伯博拍泊白舶薄迫漠爆縛麦箱肌畑八鉢発髪伐罰抜閥伴判半反帆搬板版犯班畔繁般藩販
範煩頒飯晩番盤蛮卑否妃彼悲扉批披比泌疲皮碑秘罷肥被費避非飛備尾微美鼻匹必筆姫
百俵標氷漂票表評描病秒苗品浜貧賓頻敏瓶不付夫婦富布府怖扶敷普浮父符腐膚譜負賦
赴附侮武舞部封風伏副復幅服福腹複覆払沸仏物分噴墳憤奮粉紛雰文聞丙併兵塀幣平弊
柄並閉陛米壁癖別偏変片編辺返遍便勉弁保舗捕歩補穂募墓慕暮母簿倣俸包報奉宝峰崩
抱放方法泡砲縫胞芳褒訪豊邦飽乏亡傍剖坊妨帽忘忙房暴望某棒冒紡肪膨謀貿防北僕墨
撲朴牧没堀奔本翻凡盆摩磨魔麻埋妹枚毎幕膜又抹末繭万慢満漫味未魅岬密脈妙民眠務
夢無矛霧婿娘名命明盟迷銘鳴滅免綿面模茂妄毛猛盲網耗木黙目戻問紋門匁夜野矢厄役
約薬訳躍柳愉油癒諭輸唯優勇友幽悠憂有猶由裕誘遊郵雄融夕予余与誉預幼容庸揚揺擁
曜様洋溶用窯羊葉要謡踊陽養抑欲浴翌翼羅裸来頼雷絡落酪乱卵欄濫覧利吏履理痢裏里
離陸律率立略流留硫粒隆竜慮旅虜了僚両寮料涼猟療糧良量陵領力緑倫厘林臨輪隣塁涙
累類令例冷励礼鈴隷零霊麗齢暦歴列劣烈裂廉恋練連錬炉路露労廊朗楼浪漏老郎六録論
和話賄惑枠湾腕。
『 人名漢字 』(771字)
丑丞乃之也亘亥亦亨亮伊伍伎伶伽佑侃侑倖倭偲允冴冶凌凜凪凱勁匡卯叡只叶吾呂哉唄
啄喬嘉圭尭奈奎媛嬉孟宏宥寅峻崚嵐嵩嵯嶺巌巳巴巽庄弘弥彗彦彪彬怜恕悌惇惟惣慧憧
拳捷捺敦斐於旦旭旺昂昌昴晃晋晏晟晨智暉暢曙朋朔李杏杜柊柚柾栗栞桂桐梓梢梧梨椋
椎椰椿楊楓楠榛槙槻樺橘檀欣欽毅毬汀汐汰沙洲洵洸浩淳渚渥湧滉漱澪熙熊燎燦燿爽爾
猪玖玲琉琢琳瑚瑛瑞瑠瑶瑳璃甫皐皓眉眸睦瞭瞳矩碧碩磯祐禄禎秦稀稔稜穣竣笙笹紗紘
紬絃絢綜綸綺綾緋翔翠耀耶聡肇胡胤脩舜艶芙芹苑茉茄茅茜莉莞菖菫萌萩葵蒔蒼蓉蓮蔦
蕉蕗藍藤蘭虎虹蝶衿袈裟詢誼諄諒赳輔辰迪遥遼邑那郁酉醇采錦鎌阿隼雛霞靖鞠須頌颯
馨駒駿魁鮎鯉鯛鳩鳳鴻鵬鶴鷹鹿麟麿黎黛亀。
新たに加えられた人名漢字
串乎云些仔佃俣俄侠俐侶俺倶倦僅傭儲兎兜其冥冨凄凉凛凧凰函刹劉劫勃匂勾勿廿卜卿
厨厩叉叢呑吻哨哩喧喰喋嘩嘗噌噂圃圓坐坦埼埴堆埜堰堺堯堵塙塞填壕壬夷奄套妖娃姪
姥娩宋宛宕寓實寵尖尤屑岡峨峯崖嶋已巷巾帖幌幡庇庚庵廟廻弛徠忽恢恰惚悉惹惺憐戊
或戚戟戴托按拶拭挨捉挺挽掬捲捻捧掠揃掴摺撒撰撞播撫擢孜斑斡斯昊昏昧晄晒晦曖曝
曳曾魯杖杭杵枕杷枇栃柑柴柵柿柘柏桧桔桁栖椛梗梛梯桶梶梁椅棲椀楯楚楕楢榊榮榎槇
槍槌樫樟樋樽橙檜檎櫂櫛歎此殆汝汎汲沌沓沫洛浬淀淋淵湘湊湛溢溜漕漣濡瀕灘灸灼烏
焔焚煌煎煤煉燕燭爪斧牒牙牟牡牽犀狼玩珂珈珊珀琥琶琵瓜瓢瓦甥畏畠畢畿疋疏痩盃瞥
砦砥砧硯碓碗磐祇祢禮禰祷禽禾秤稟稽穿窄窟窪窺竪竺竿笈笠筈筑箕箔箸篇篠箪簾籾粥
粟糊紐絆綴縞徽繋繍纂纏羚羨而耽肋肘肴脇腔腎膏膳臆臥臼舷舵芥芯芭芦苔苺茨茸荻莫
菅萄菩萠莱菱葛萱葺董萬葡葦蓋蓑蒐蒲蒙蔭蒋蓬蔓蕎蕨蕃蕪蔽薗薙蕾藁薩蘇蜂蜜蝦螺蝉
蟹蝋袖袴裡裾裳襖訊訣註詣詮詫諏誰謂諺諦謎讃豹貌貰貼賑跨蹄蹟蹴輯輿轟辻迂迄辿迦
這逞逗逢遁遡遜遙祁鄭酎醐醒醍醤釉釘釜釧鋒鋸錐錆錫鍋鍵鍬鎧閃閏閤闇阪陀阜隈隙雀
雁雫鞄鞍鞘鞭韓頁頃頓頗頬顛餅饗馴馳駈驍櫓鰯鱒鱗鳶鴨鵜鴎鷲麓鼎。
【 命名に関する心得・3
◇ 出生届の書き方 ◇
何枚必要か・・・・・・本籍地と現住所が同じで、その市区町村役場へ届ける場合は一枚。
本籍地と現住所が同じで、出産は母親の実家(他府県)でその役所即ち
本籍地・現住所地、以外のところへ届ける場合は二枚が必要です。
記入上の注意・・・出生届けは長く保存されるものですから、鉛筆や変色して消えてしまうような
インクで書いてはいけません。良質のボールペンかブルーブラックなどのインキ
を使って書いて下さい。文字はわかりやすく楷書で誤字のないよう注意のこと。
子供の名前は、出生届けに書いた文字が名前となります。
たとえば、「明彦(あきひこ)」とすべきところを、うっかり「朋彦(ともひこ)」と書いてしまうと
その子の名前は「朋彦」となってしまいます。念には念を。名前以外の数字、番地や生年月日は
1・2・3・4・・・の算用数字を使います。子どもの氏名にはフリガナは絶対に付けてはいけません。
「昌功(マサノリ)」と読ませたいので他人が間違いなく読んでくれるようにフリガナをるけると
「昌功(マサノリ)」という名前として戸籍に登録され、以後公式の文書では「昌功」では通用せず
必ず「昌功(マサノリ)」としなければ公式の名前でなくなります。
その他の出生届けの書き方は、自分勝手に判断して書かずに、必ず役所の戸籍係で聞いた上で
念入りにお書き下さい。
◇ 名前の読み方は自由 ◇
戸籍法のどこを見ても、読み方については規定していません。というのは読み方は自由にできる
ということです。たとえば「幸子」を「さちこ・ゆきこ・さきこ・たかこ・たつこ・とみこ・ともこ」
のように、自由に読めるのです。
辞典を見ると「人名」として、その漢字の名前としての読み方が出ています。どうしてこんな読み方
ができるのか、首をかしげたくなる読み方もありますが、いずれもかつてこのように読ませた名前が
あったわけです。
上記のように「幸」の場合人名では
「さい・さき・さち・さつ・たか・たつ・とみ・とも・ひで・みゆき・むら・ゆき・よし」とこれだけ
多くの読み方があるそうです。
しかし、いくら自由であるといっても普通では読めないような読み方をさすのは、どうでしょうか?
辞典を見て「人名」で記載されてある範囲の読み方にとどめたいものです。
【 命名に関する心得・4 】
◇ 戸籍上の名前の変更はできるのか? ◇
一度、戸籍上に登録した名前は、やたらに変えられないということを知って
いただきたいのです。
ということは、それだけに慎重に名前をつけていただきたいということです。
六法全書を見てみますと、戸籍法第百七条には、
●「やむを得ない事由によって氏を変更しょうとするときは、戸籍の筆頭に記載
した者及びその配偶者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければ
ならない。」
●「正当な事由によって名を変更しょうとする者は、家庭裁判所の許可を得て、
その旨を届け出なければならない」と規定されています。
つまり、家庭裁判所の許可を受けなければ、名前を勝手に変えることはできない
のです。そして許可を得るには、それなりの「正当な事由」がなければ許可して
もらえません。正当な事由というのは、なかなかむづかしくて、裁判官でないと
いちがいに判断はできません。
例えば、先祖代々同じ商売をしていて、それを継続するのに同じ名でないと
具合が悪い場合つまり、「松本清商店」とか「小泉純一郎商店」といった場合
二代目や三代目で「松本雅弘」になったり「小泉弘司」になっては商売上困る
という場合とか名前があまりにも珍奇で世間のもの笑いになるといった場合
にのみ、正当な事由として認められるので、「縁起が悪い」とか「名前が気に
入らない」とか「姓名判断で変えろといわれたから」といった事由は、正当と
認められず、従って許可にならないのです。
名前は、まさに一生涯その人についてまわり、運命を共にするものです。
いや、後世に名を残すとなると、自分の力がもはや及ばない先々までも
名前だけは生き続けるものといってよいかも知れません。他の物でしたら
途中で買い替えたり交換したりできますが名前はそうはいきません。
戸籍の名前を変えることは、上記のように大変なことです。私には経験の無い事です。
戸籍上の名前まで変えなくても改名した名前をフルにご使用される事が
一番大切です。いくら良い名前に変えても、ほとんど使用しなければ
何の効果も現れません。
昔、私が姓名学を学んだ恩師(田村滋朗先生)の話に寄りますと、他人と手紙や
ハガキのやり取りを改名した名前でおこない、それを証拠に五年ぐらい経って
家庭裁判所へ持って行き、そこで判決を頂き、市役所へ申請すると出来ると
教わった事があります。
手紙やハガキには日付が入っておりますので何年前から、この名前(通称名)を
使用しているという第三者による証拠物件になるらしいのです。
一度試されたらいかがでしょうか。
【 命名に関する心得・5 】
◇ 理想的な名前の三ヶ条 ◇
1.書きやすくて、見た感じがよいこと。
2.読みやすくて、聞いた感じがよいこと。
3.悪い意味の漢字を使用しないこと。
以上は姓名学からみて欠点のない名前ならもちろん理想的な名前といえますが、さらに
もう一段、完全無欠で理想的な名前にすることの条件です。
陰陽の配列・画数・五気の組み合わせが、どんなに完全であっても、書いてみて書きにく
かったり、読みにくかったり、耳ざわりが悪かったり、悪い意味の字を使っては、けっして
理想的とはいえないと思います。
(1).の場合の「書きやすい文字」の場合
従来は、とかくむずかしい漢字をさがして、博学ぶって名前につける傾向がありました。
おかげで、当人が一生のあいだ正しい名前を書くのに、たいへん苦労した、という話も
あります。
現在では戸籍法によって「常用平易な文字を用いなければならない。」とあり、それが
当用漢字と人名用漢字の範囲に限られていますので、漢和辞典でなければおめにかか
れない漢字を名前にすることはなくなりました。これは、たいへん結構なことで、一応
正しく書けないということはなくなりました。
しかし、たとえ当用漢字であっても、あまり画数の多い文字はどんなものでしょう。
懸滋(けんじ)・墾索(こんさく)・蘭子(らんこ)といった名前は、決して悪い名前ではない
にしても良い名前であるといいきれる名前ではありません。どうしても「懸」「墾」の
文字を使いたい場合の他は、できることなら避けた方が無難でしょう。
またどうしても使う場合は、続く文字をできるだけ簡単な文字として、たとえば
「懸一」とか「墾作」といったようにしたいものです。
なぜこのようなことを言うかといいますと、名前というものは、人に呼ばれたり自分で
名のったりする他に、自分で書いたり、人に書かれたりするものだからです。
年賀状のはがきにはじまり、手紙・レポートはもとより、たいていの書類には必ず
といってよいほど氏名を記入しなければなりません。
最近では、ハンコは不要でもサインが必要というケースも多くあります。一生のあいだ
自分の名前をどれだけ書くことか想像も出来ません。こう考えただけでも、名前は
できるだけ書きやすい文字にしておいた方が、どんなに良いかも、おわかりのこと
でしょう。
【 命名に関する心得・6 】
(2).の場合の読みやすくて、聞いた感じがよいこと。
いま仮に「ゴミ」という名前を口に出して三度となえてみてください。
どのような感じがしますか? どんな文字をご想像なさいますか?
これは女の子の名前で「五美」と書くそうです。五月に生まれたので、五月の「五」と
美しくあるようにと「美」をつけて名づけたのでしょうが、耳から聞いただけでは、とても
そのような感じはしません。文字をみれば、なるほど、やさしそうな感じで、いかにも
女の子の名前です。
意味も良く、読みやすく、しかも書きやすい名前です。ところが耳から聞くと、どうにも
「ゴミ」というのは、いただけません。
同じように、男の子の名前で「矢郎」というのがあります。弓矢の「矢」で、いかにも勇ましく
男らしい名前です。しかし口に出して発音してみて下さい。どうにも「ヤロウ」では、なんだ
この野郎!と言いたくなる乱暴な名前です。
これらは、極端な例かもしれませんが、耳から受けとる感じをおろそかにできない、という
一つの例です。名前をつける場合、口に出して発音してみることも大切なことといえます。
また、このように発音してみて、きたない感じであったり乱暴な感じだけでなく、不自然で
あったりゴロの悪い場合も避けたいものです。
たとえば「臣士」とか「役也」などという名前の場合、口に出して発音してみると「シンシ」
「ヤクヤ」となり、同じ音が重復してきます。これもあまり感心したことではありません。
「臣太郎」とか「役治」という具合に、同音にならないようにしたいものです。
姓とのつり合う名前であること。
子供の頃はともかくも、成長して社会に出ると、名前は姓と共に呼ばれ、書かれるのが
普通です。
長谷川長雄(はせがわながお)
早川繁樹(はやかわしげき)
鵜飼一人(うかいかずひと)
氏名を三つあげてみました。中には姓名学上、欠点の名前もありますが、これは姓との
つり合いの例ですから無視してください。
それぞれ名前だけをとりあげてみますと、「長雄」「繁樹」「一人」と、そんなに悪い名前
でもないのに姓と組み合わせてみると、どうもしっくりとこないのです。
「長谷川長雄」の場合は、文字から来る意味が重複してしまっています。
長谷川の「長」と長雄の「長」とで、どうにもしつっこい感じがするのです。またこのように
姓で三文字の場合は、特に名前とのつり合いがむづかしいとされています。たとえば同じ
「長谷川」で「治」という名前をつけたとします。「長谷川治」と書いた場合、はたして
「長谷川(はせがわ)治(おさむ)と読んでくれるでしょうか。
読み方によっては「長谷(ながたに)川治(せんじ)とも読めるわけです。この場合も姓と名
とがつり合っているとはいえません。
「早川繁樹」の場合は、こんどは逆に姓に使われている文字の意味と、名に使われている
文字の意味とが、そぐわない感じです。
「早川」とくれば「清」(きよし)」とか「直行(なおゆき)」といった名前であればぴったり
の感じです。また、名前が「繁樹」であるば「森山」とか「栗林」といった姓がぴったりです。
「川」と「樹」では、ちょっと異質な感じです。
「鵜飼一人」の場合は、姓がこみいっている割合に、名前があっさりしすぎています。
「鵜飼」は両方の文字で31画もあるのに対して、「一人」は両方合わせてもたったの3画で
これではバランスがとれません。上が重い感じになっています。
この逆の場合もあるわけで、上記の「早川繁樹」の例なども、どちらかといえば上が軽くて
下が重い感じで、バランスが良いとはいえません。
そこで、このように姓と名前を入れ替えてみました。
長谷川一人(はせがわかずひと)
早川長雄(はやかわながお)
鵜飼繁樹(うかいしげき)
これですと、いくらかバランスがとれてきました。このように、文字の意味合いと、見た目から
くる重さ軽さの問題を、よく考慮して姓と名とのつり合いのとれた名前を選名しましょう。
【 命名に関する心得・7 】
(3).の場合の悪い意味の漢字を使用しないこと。
漢字はみなそれぞれに、いろいろな意味をもっていますから良い意味の字は
宜しいが、悪い意味の字は、なるべく避けることです。
悪 死 病 危 狂 殺 罰 哀 悲 疲 劫 仇・・・・・・・・など。
このような漢字を名前に使用する人は、おそらくありえないと思いますが
陰陽の配列・画数・五気などに気をとられて、ついうっかりすると次のような
名前をつけないとはかぎりません。
(1)見た目が良くて、書きやすく、呼びやすく、きれいに響く字であっても
悪い意味をもっている漢字はいけません。
4 1 7 8 8 3
仇 一 (きゅういち) ・ 劫 児(こうじ) ・ 鬼 三(きぞう)
木 土 木 金 木 金
これらの名前は、陰陽・画数・五気も完全ですが、字のもっている意味が悪い
のですから、けっして理想的な名前とはいえません。
(2)漢字の意味がよくても、陰陽・画数・五気の悪いものは、当然避けるべきです。
明治・大正時代には次のような、忠君愛国的なものや、軍人精神昂揚的な名前
が多く使用されましたが、いずれも姓名学上、欠点のある名前で感心できません。
忠良(ただよし) 火・火
忠臣(ただおみ)陰・陰 8+6=14・・・・・・・凶
武夫(たけお) 陰・陰 水・水 8+4=12・・・凶
武士(たけし) 水・金
君代(きみよ) 陽・陽 木・火 7+5=12・・・凶
孝子(たかこ) 陽・陽 7+3=10・・・・・・・凶
君子(きみこ) 陽・陽 7+3=10・・・・・・・凶
ところが、つぎの名前は同じような意味の字を使っていますが欠点はありません。
現在の名前に使用しても良好となります。
忠義(ただよし) 火・木 8+13=21・・・・・吉
忠孝(ただたか) 火・木 8+7=15・・・・・・吉
忠士(ただし) 火・金 9+3=11・・・・・・吉
(3)不吉な名前や、縁起の悪い名前がありますから、これも避けてください。
たとえば、竜馬・義元・信長などは、歴史的には有名な人物の名前ですが
いずれも非業死をとげた、いわば縁起の悪い名前ですし、そのうえ欠点の
多い名前ですから使用してはいけません。
(4)漢字にとらわれないようにしましょう。
女性は、いつでも美しくありたいと念願しているせいでしょうか、、女性の名前
には「美」の字のついたものが多いようです。しかし、この「美」の字は9画水性
ですから、うっかり使用しますと、とんでもない結果になりかねない、もっとも
危険な、使いにくい字なのです。
美しい、という意味にひかれて、とりかえしのつかない名前にならないように
十分ご注意してください。きれいなバラにはトゲがあるのと同じことです。
ほかにも麗人の「麗」の字がありますが、これは19画火性ですし、貞淑の「貞」
の字は9画火性ですから、使い方に注意しなければなりません。
美人でありたい、麗しくありたい、貞淑でありたいと願うのは、女性の本心でしょうが
この良い意味の漢字が、使い方ひとつで、かえって反対の結果や思わぬ不幸を招く
ことにもなりかねないのですから、恐ろしいことです。
男性は勇敢でありたい、正しく生きたい、毅(つよ)くありたいと願うでしょうが
この「勇」「正」「毅」の字も使い方で女性の場合の、美・麗・貞と同じように反対の
結果を招く字ですから、注意しなければなりません。
勇(9画)・正(5画)毅(15画)です。こういう字はこの他にもたくさんあります。
ですから、悪い意味の字や縁起の悪い名前は、もちろん避けなければなりませんが
良い意味の字でも使い方で悪い結果になる場合がありますから、十分に注意する事。
【 命名に関する心得・8 】
◇ 命名は親の願いをこめてつけましょう ◇
名前のつけ方の実際について、いろいろ具体的に例をあげて説明しましょう。
今までで、「良い名前のつけ方」というものが、どういうものであるか十分理解いただけたこと
と思います。それぞれの条件に合う文字を適当に選び出して、これを無造作に組み合わせて
みても一応は名前になります。
しかし、名前とはそのように機械的につけて良いものでしょうか。それでしたらコンピュータ
でも名づけができます。名づけに当たっての基本的な態度は、子どもに対する「愛情」です。
子どもは、大きくなって必ず親に聞くものです。
自分の名前は、どうしてこういう名前であるのかと。その時あなたは何と答えますか?
何となく、良い名前と思ったから・・・・・・・では子どもは納得いかないでしょう。
こういうわけで、その名前に決めたのだよ。ずいぶん苦心したが、良い名前でしょう!と
答えてこそ子どもは納得し、自分の名前に対して、さらに自信を持つことでしょう。
「這えば立て、立てば歩め」と子を思うは親の常で、誰しも子供が丈夫に立派に育ってくれる
ことを願います。この願いを名前にする。この名づけ方は、昔から多くの親たちが用いて来た
名づけの方法です。
子供が生まれたとき、体重が平均よりかなり少なく医者からも、順調に育つかどうか危ぶまれ
夫婦として心配で夜もねむれず、とにかく育ってくれと、心からの願いを込めて、その子に
「育子」と名づけた、という知人がいました。
しかし正漢字では、7画+3画=10画で自己運悪く、漢字の意味とは別な凶運勢になり
平穏無事な一生涯はおくれません。
健康であるようにと「健太」。誠実であるようにと「誠吾」。勇ましくあるようにと「将太」。
幸多かれれと「倖子」。衣食住が充分にと「充代」。野球が上手くなりますように「球児」。
・・・・いずれも同じく親のひたむきな願いをこめての名づけです。
子供の命名には、親としての願いを込めた、愛情のこもった名前を選び、その責任と義務を
負うべき努力をしましょう。
【 命名に関する心得・9 】
◇ 仮名文字について(カタカナ・ひらかな)◇
名前に使って良い字は、当用漢字・人名漢字の他に「カタカナ」「ひらかな」が含まれています。
ただし、「変体がな」はいけません。ですから片かな・平かなをそのまま組み合わせて名前に
しても、勿論かまわないわけで、昔は「ウメ」「きよ」などと、女の子の名前は、ほとんどこのように
片かな・平かなが用いられていました。
現在でも、「マリ」とか「あけみ」といったように片かな・平かなだけの名前もあります。
また、最近では漢字を「万葉がな」ふうに当て字として名前に使う例が多くなりました。
「有利江」とか「加代子」といったように、女の子の名前に用いて、見た目にも綺麗でやさしく
よいものです。
もともと「かな」というものは、日本で漢字の一部分を省略するか、極度に草書化するかによって
作り出した文字で、漢字の一部をとったものを「カタカナ」、漢字も草書体からとって作ったのが
「ひらかな」とされています。
ですから、どの「かな」にも、もととなる漢字があるわけで、これを当て字に使えば良いわけですが
これでは、あまり変化がなく、文字が限られてつまりません。
★ 万葉がな ★
「万葉がな」は、漢字の意義を考えずに、その音のみをそのまま用いたものです。
日本には古来文字がなかったので、漢字が最初の文字であったわけですが、これは中国語を
書くための文字で日本語を表記するには適しておらず、人名や地名などの固有名詞を書くには
たいへん不便したわけです。そこで漢字の意味を捨てて、音のみを用いて固有名詞を表記する
方法がとられたわけです。これが「万葉がな」といわれるもので、用いられた漢字は、時代に
よって多少異なっています。
ここでは、まず「カタカナ」と「ひらかな」をあげて、それぞれカッコのなかに画数を示しておきました。
次いでその下に、万葉がなふうに用いて、現在でもおかしくない漢字をいくつかあげておきました。
【仮名文字と万葉がなの当て字】
ア(2)・あ(3)・・・安・亜
イ(2)・い(2)・・・伊・以・依・位・維・移・居・委
ウ(3)・う(2)・・・宇・右
エ(3)・え(3)・・・江・衣・恵・絵・枝・会
オ(3)・お(3)・・・・・小・雄・緒・御・生
カ(2)・か(3)・・・加・佳・果・華・夏・歌・香・花 ガ・・・賀・芽・雅
キ(3)・き(4)・・・幾・希・季・規・紀・貴・樹・毅 ギ・・・義・岐
ク(2)・く(1)・・・久・九・工・句 グ・・・具
ケ(3)・け(3)・・・計・慶・恵・径・啓 ゲ・・・外・下
コ(2)・こ(2)・・・古・吾・悟・後・呉
サ(3)・さ(3)・・・左・佐・砂・早 ザ・・・座
シ(3)・し(1)・・・史・士・司・志・始・詩・姿・仕 ジ・・・治・路・滋
児・二・地
ス(2)・す(2)・・・須・寿 ズ・・・図・豆
セ(2)・せ(3)・・・世・施・瀬・勢 ゼ・・・是
ソ(2)・そ(3)・・・素・祖 ゾ・・・俗
タ(3)・た(4)・・・多・田・太・他 ダ・・・打・太
チ(3)・ち(3)・・・知・智・千・致 ヂ・・・治・路・滋
児・二・地
ツ(3)・つ(1)・・・津・都 ヅ・・・図・豆
テ(3)・て(2)・・・手 デ・・・田
ト(2)・と(2)・・・斗・登・戸・外・都・図 ド・・・土・度
ナ(2)・な(4)・・・奈・菜・名・七
ニ(2)・に(3)・・・仁・二
ヌ(2)・ぬ(3)・・・奴
ネ(4)・ね(3)・・・音・根
ノ(1)・の(2)・・・乃・之・野
ハ(2)・は(3)・・・波・葉・羽 バ・・・場
ヒ(2)・ひ(2)・・・比・非・彼 ビ・・・美・備
フ(1)・ふ(4)・・・不・布・夫・付・府 ブ・・・部・武・分
ヘ(1)・へ(1)・・・平 ベ・・・辺・部
ホ(4)・ほ(4)・・・保・穂・歩・帆 ボ・・・暮・慕・母
マ(2)・ま(3)・・・麻・摩・真・満・末・万・間
ミ(3)・み(3)・・・美・味・実・三・末・魅
ム(2)・む(3)・・・務・武・夢・無
メ(2)・め(3)・・・芽・女・目
モ(3)・も(3)・・・毛・茂
ヤ(2)・や(2)・・・也・夜・野・矢・八・谷
ユ(2)・ゆ(3)・・・由・夕・有・祐
ヨ(3)・よ(2)・・・与・夜・代・余
ラ(2)・ら(2)・・・良
リ(2)・り(2)・・・利・里・理
ル(2)・る(2)・・・留・流
レ(1)・れ(2)・・・礼・令
ロ(3)・ろ(2)・・・呂・路
ワ(2)・わ(2)・・・和
以上、命名のときの参考にお役立てください。
【命名に関する心得・10 】
◇ 姓と氏◇
日本の名前について、そのなりたちを少しばかり見てみたいと思います。
今でこそ「氏」のない人など、どこにもいませんが、明治維新前には、氏は武士以上の階級
だけがとなえて、その他の人は特別に許されなければ、となえることができませんでした。
明治三年に一般の人でも苗字(みようじ)をとなえることが許され、さらに明治八年になって
苗字をとなえる義務があると定められました。
それまでに氏を持っていた人や、苗字を許されていた人はともかくとして、ここで急に苗字を
つける、ということになったのですから大変です。たいていの場合は本家の苗字をとなえたり
住んでいる地名を苗字にしたりしましたが自分できめられなかったり、字を読み書きできない
人達は庄屋や役所の役人がつけました。この人たちの苦労もなみたいてではなかったことと
思いますが、中には不真面目な人も居て面白半分につけたとしか思われない苗字もあります。
こうして今ではすべての人が苗字を持っていますが、この苗字といわれているものは、もともと
「姓氏」といって職業、功績などによる身分をあらわすものだったのです。
現在の日本国憲法では、平等の原則を定めています。第14条に
「すべての国民は、法の下に平等であって、人種・信条・性別・社会的身分または門地により
政治的・経済的または社会的関係において差別されない」とうたってあります。
ですから「中臣さん」も「蘇我さん」も「小泉さん」も「福田さん」も同じように平等の身分です。
ところが大昔は、これが身分を表す記号でもあったのですから大変です。
「姓」はカバネと読み、「氏」はウジ」と読み、その起源は大和朝廷時代に始まります。
まずはじめに、互いに親類であるという考えや、同じ土地に暮らしているという親しさで
一つにまとまった集団が「氏」をとなえました。氏の名は、仕事の種類や、出身の土地の名で
つけたようです。たとえば中臣氏は、神を祭る家業ですから神と人との中をとりもつという
意味です。
だんだんと今度は氏のあいだに身分の上下ができてきて、朝廷から、その地位を示す
ために「臣(おみ)」「連(むらじ)」などというように「姓(かばね)」が与えられました。
こうして中臣連(なかとみのむらじ)とか蘇我臣(そがのおみ)というように姓と氏の名に
そえて呼ぶようになったのです。
やがて時代とともに、しだいに姓と氏が混同したり、その体系が不明になったりしたので
調査して上に神代から下は弘仁年間まで1082氏を選定しました。
今も伝わる「新撰姓氏録」は、その略本といわれます。つまり、わが国では古代には各人は
名前があるだけで氏は持たなかったが、その後、職業・住所・功績などによって「氏」を
となえるようになり、その同一の氏を持った人々の集まりを「氏族」といったわけです。
この氏族が大きくなるにつれて、互いに区別のために新親者が別に「苗字(みようじ)」を
となえることもあり、こうして姓と氏も苗字も同じようなものに考えられるようになったのです。
現在では一家族がとなえるものが「氏」で、その中の一人だけがとなえるものが「名」と
いえばよいでしょう。
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